◆家づくりのコラム:玄関扉について
住宅に取り付けられる出入り口として、一般的に最も目を引くのが玄関扉です。
家の顔とも言われる部分なので、こだわって計画したいですね。
今回は、そんな玄関扉の基本的な開き方と使われる材質、特徴についてお伝えします。
玄関扉の基本的な開き方と特徴
まずは、玄関扉の基本的な開き方と特徴についてお伝えします。
玄関扉は、開き方によって玄関の使い勝手に大きく影響が出てきます。
プランと照らし合わせながら、慎重に選びたいですね。
・片開き
玄関扉の開き方の中で最も低コストで、ポピュラーと言えるのが片開き扉です。
ほかの開き方に比べ、必然的に扉の開口幅が小さくなるため、玄関からの大きな家具の出し入れなどは難しくなることがあります。
既製品ではデザインのバリエーションが多いのも人気の理由です。
・親子開き
片開き扉の横に、縦長の小さな扉がついたものが親子開きの扉です。
日常的なの扉の出入りは、片開き扉と同じですが、袖の扉を開くことでより広い開口を確保することができるため、大きな物を出し入れする機会が多い場合に役立ちます。
また、車イスの方が家族にいて、プラン上引き戸がつけられない場合も、親子開き扉を選択しておくと安心です。
・片袖扉、両袖扉
片開きの玄関扉の横に、縦長ではめ殺しのガラスが入った扉のことです。
片方だけの場合は片袖扉と呼ばれ、扉の両方にある場合は両袖扉と呼ばれます。
ちなみに、ガラスの部分は開きません。
一時期、玄関扉のガラスを割ってサムターンを回し、住宅内に侵入する空き巣の手法が流行りましたが、玄関ドア自体にガラスを入れるよりも防犯上安全に玄関に明りを取り入れることができます。
・両開き扉
2つの扉が観音開きする玄関扉のことを言います。
店舗などではよく見かけますが、住宅で採用されるケースは稀ですが、住宅に取り付けた場合は大変迫力があり、重厚感がある玄関になります。
そのため、家自体の広さやデザインも玄関扉に負けないように計画しておく必要があります。
開口部が広くなりますが、扉が2枚になる分、単純計算で片開き扉の約2倍のコストがかかります。
・片引き戸
左右どちらかにスライドさせて開くタイプの玄関扉です。
開き扉に比べて、力の弱い方や、車イスの方、荷物が多い場合の出入りが圧倒的に便利になりますので、バリアフリーを意識した住宅で人気の形式です。
開き扉に比べて気密性が悪くなるため、採用する場合はその点における理解が必要です。
・引き違い戸
2枚の扉をスライドさせて開くタイプの玄関扉です。
出入りの方法は方引き戸と同様なので、バリアフリーを意識した住宅や、和風の住宅で人気があり、気密性も片引き戸に比べて向上します。
玄関扉に使われる材質と特徴
玄関扉に使われる材質は、金属製と木製の2択と言えます。
それぞれの材質の特徴を確認してみましょう。
・金属製
既製品の玄関扉で、デザイン、カラー共に最も品揃えが豊富で、防火規制の厳しい地域でも使えることから、日本の住宅の玄関では金属製の玄関扉が主流になっています。
一般的には、アルミ等の金属で断熱材を挟むようにして構成され、仕上げとして表面に化粧シートが張られています。
金属の質感をそのまま活かしたシンプルでモダンなデザインから、木目の化粧シートを施した温かみのあるデザインまで選ぶことができます。
既製品の場合、幅広い価格グレードが設定されていて、予算に合わせて選びやすいのも特徴です。
・木製
木材の質感をそのまま活かし、玄関扉に用いた木製の玄関扉は、金属製の扉には無い温かみと独特の存在感があります。
既製品として木製の扉を取り扱っているメーカーもありますが、やはり金属製扉に比べると高級な選択肢になります。
傷つきやすく、雨や日光などで痛みやすいため、長く美観を保つためには、玄関庇を広く確保するなどの設計上の工夫も必要です。
使ううちに色に深みが増し、味が出てくるのも木製扉の良さです。
玄関扉の種類と特徴についてお伝えしました。
家族や来客を迎え家の顔とも言える部分なので、愛着を持って長く使えるように、使い勝手やデザインにこだわりながら慎重に計画したいですね。
◆ 執筆者プロフィール ◆
ー 佐藤結伽 ー
2級建築士。
2人娘の育児にも奮闘中。
最近、自邸の建設をし
注文住宅を購入する事の素晴らしさと、大変さを身をもって経験した。