◆家づくりのコラム:トイレについて

 

 

 

家づくりの計画で、後回しにされがちなトイレ。

比較的狭い空間ですし、1日中過ごす場所ではないので、仕方がないかもしれません。

ただ、トイレは毎日必ず使う場所ですし、一人でホッとできる空間で、お客さんの印象にも意外と残る場所ということも忘れてはいけません。

家づくりの際には、ぜひこだわって計画してみてください。

今回は、トイレ計画の7つの基本的なポイントと、後悔しないために気を付けたい5つのポイントをお伝えします。

 

 

トイレ計画の基本7つ

 

トイレを計画する際に、基本的におさえておきたいポイントを確認しましょう。

 

① 位置

家の中で、トイレをどの位置にするかを考えます。

考える際のポイントとして、以下の点があります。

優先順位を立てて、検討してみてください。

 

■ 各階に必要か考える

各階にトイレを設置すると、便器などの設備費用はもちろん、配管工事費などのコストが掛かります。

トイレがあると便利なのは、「長い時間を過ごす部屋がある階」「寝室がある階」「浴室がある階」。

あまり人が使わないトイレは、コストが掛かるだけではなく、カビが生えやすく、害虫の住処になりやすく、掃除の手間が掛かります。

いつ、どのタイミングでトイレを使うのかを考え、各階にトイレを設置する必要性があるか考えましょう。

 

■ 洗面所や浴室、キッチンなど、水を使う「水回り」と近い位置にする

住宅の中で、ほかの「水回り」と近い場所にトイレを設置すると、配管設備がコンパクトにまとめられるため、工事費の節約やメンテナンス性の向上などメリットがあります。

 

トイレの位置を考える場合に、避けた方がいい場所として、次のものがあります。

 

■ リビングの近く

臭いや音が筒抜けになり、リビングで過ごす人も、トイレを使う人も気をつかってしまうことに。

どうしてもリビングの近くになってしまう場合は、音や臭いが漏れない工夫や、廊下や扉で隔てるなどして対策しましょう。

 

■ 寝室や書斎の近く

寝室や書斎など、静かに過ごす部屋の隣や、真上など、壁1枚挟んだ場所にトイレを設置すると、トイレで発生する音(排せつ音、流水音)が気になりやすく、だれかがトイレに入るたび不快な思いをすることも。

お年寄りや小さい子供がいる家庭の場合、寝室の側にトイレがあるのは便利なので、便利さと快適さの優先順位を考えて検討しましょう。

配管・壁・扉の防音に配慮すると、比較的音の漏れを軽減できます。

 

■ 北東、北、西

家相を考える場合、トイレは北東と北を避けるべきとされています。また、西日が差し込むトイレは夏場とても暑くなるので、窓の位置などに配慮しましょう。

 

■ 道路側

人の往来がある道路側にトイレを設けると、常に人の気配を感じ、落ち着いてトイレを使えない場合があります。

また、トイレを使っているシルエットが窓越しに見えてしまうことや、窓を閉じていても換気口から音が漏れてしまうことも。

 

 

② 広さ

 

住宅のトイレの広さは、一般的に以下のパターンがあります。

広すぎる、狭すぎるということが無いように、適した計画ができるといいですね。

 

■ 0.4坪サイズ

内寸約780mm×1235mmのサイズで、快適なトイレを計画するにあたり、一番小さいサイズと言えます。背の高い人や、手洗い器を設置する場合窮屈に感じることもあります。

 

■ 半坪サイズ

内寸約780mm×1690mmのサイズで、広々とした印象になります。

手洗い器や収納をゆったりと設置できます。

奥行が広すぎると感じる場合、長手側に収納を設置したり、1385mm程度に縮めてもいいでしょう。

 

■ 0.75坪サイズ

内寸約1235mm×1690mmのサイズで、介助が必要な人が使うトイレに適しています。

便器から手が届かないという失敗を防ぐため、紙巻き器や手すりの位置に気を付ける必要があります。

 

 

③ 便器の種類

 

トイレの主役である洋風大便器の種類は、以下のタイプに分けられます。

 

■ 組み合わせタイプ

便器、タンク、便座が独立しているタイプで、次のような特徴があります。

  • 手洗い器付き、なしが選べる
  • 便座の機能(暖房便座か、温水洗浄便座か)について、好きなものが選べる
  • 壊れた場合、部分的に交換できる
  • 比較的サイズが大きい
  • 連続で流せない
  • つなぎ目が多く掃除がしにくい
  • 低価格

 

■ 一体化タイプ

便器、タンク、便座が一体化しています。

一見組み合わせタイプと見分けがつきませんが、次のような特徴があります。

  • 手洗い器付き、なしが選べる
  • 組み合わせタイプに比べてすっきりした見た目をしている
  • 比較的コンパクトなデザイン
  • つなぎ目が少なく、掃除しやすい
  • 故障の際、部分的な交換はできない
  • 連続で流せない

 

 

■ タンクレスタイプ

水道管と直結して洗浄する方式で、タンクはありません。

次のような特徴があります。

  • 最もコンパクトなデザイン
  • 背が低いのでトイレが広く見える
  • つなぎ目が少なく、掃除しやすい
  • 連続で流せる
  • 高価
  • 手洗い器が別に必要
  • 故障の際、部分的な交換はできない
  • 停電時に流せないタイプが多い
  • 水圧が低い場所では、流れが悪い

 

この他に、男性用小便器、和式便器があります。

トイレの広さ、予算、使う人、お好みに合わせてショールームなどで適した便器を選べるといいですね。

 

 

④ ドア

 

トイレのドアは、開き戸にするか引き戸にするか、間取りに応じて考える必要があります。

以下の点に配慮して計画しましょう。

  • 廊下や続き間の部屋への干渉
  • 使いやすさ(車いすの人やお年寄りが使う場合、引き戸の方が使いやすいです)

 

トイレは排せつや脱衣によって体温が変化しやすい場所なので、開き戸の場合必ず外開きにして、万が一中で人が倒れた場合でも、ドアが開かないことがないようにしましょう。

 

 

⑤ アクセサリー

 

アクセサリーとは、紙巻き器・タオル掛け・手すりなどのトイレに必要な設備のことです。

使い勝手はもちろんですが、デザイン性や掃除のしやすさに配慮した商品を選びましょう。

メーカーのショールームで実物を確認することができます。

 

 

⑥ 収納

トイレで使う物品は、意外と多いです。

リストアップして、トイレに置きたいものを確認した上で十分な収納計画を行いましょう。

一般的に、トイレで使われるのは次のものです。

  • トイレットペーパー
  • 掃除用具
  • 生理用品
  • 消臭剤
  • タオル
  • 補助便座
  • 踏み台
  • ビニール袋

等、収納の種類は、トイレ上部に設置する吊り戸、便器の後ろに設置するタイプの収納、壁埋め込み収納などがあります。

トイレの広さや形状、収納するものに応じて何種類か計画すると便利で使いやすいですよ。

 

⑦ 内装材の種類

 

内装材とは、床・壁・天井の仕上げ材のことです。

トイレの内装は、掃除のしやすさ・滑りにくさ・臭いの染みつきにくさなどを考慮して選ぶといいでしょう。

 

トイレでおすすめの仕上げ材は、次のものがあります。

■ ビニールクロス

表面がビニールでできた壁紙で、たくさんの色・柄があります。

トイレには、消臭機能や掃除のしやすいコーティングがされたものもおすすめ。

比較的安価です。

 

■ 珪藻土

消臭、調湿効果のある内装材です。

水を扱い、臭いが発生しやすいトイレに適した内装材ですが、掃除はしにくいです。

おしゃれで、様々なパターンが楽しめます。

 

■ 漆喰

消臭、調湿、防カビ効果に加えて、今注目の殺菌効果がある仕上げ材です。

効果を見ると、トイレに適していますが掃除はしにくいです。

上品で高級感があり、様々なパターンが楽しめます。

 

■ タイル

耐久性があり、掃除がしやすいです。

とても高級感があり、ホテルライクな空間になるでしょう。

音を反響させるため、天井材に吸音効果があるものと併せて使うなどして、対策するといいでしょう。

 

■ メラミン化粧板

耐久性があり、最も掃除がしやすいです。

たくさんの色・柄があり、商業施設のトイレのパネルなどでよく使われています。

 

掃除がしやすいタイルや、メラミン化粧板を腰壁に使って、その上をビニールクロスや珪藻土・漆喰などで仕上げる方法もあります。

 

 

床の仕上げ材は、次のものがあります。

■ フローリング

他の部屋と続けて使うことで、家の中に一体感を持たせ、おしゃれな印象に。

ただし、木質のフローリングは水が浸みこみやすく、汚れやシミや腐ってしまうことも。

トイレで使う場合は、タイルなどと組み合わせて使うか、表面に水が浸みにくいように強化された商品がおすすめです。

 

■ タイル

耐久性があり、水が染みにくく、掃除がしやすく、高級感があります。

より掃除のしやすさを考えるなら、200角程度の大き目のタイルを。

表面に滑りにくい加工がされているものがおすすめです。

 

■ クッションフロアシート

ビニール製の化粧シートで、たくさんの色・柄を選ぶことができます。

水が浸みにくく、比較的安価なため、水回りの床材として人気です。

滑りやすいため、安全に使うために、水に濡れた場合は早めにふき取りましょう。

 

■ コルク

コルク床は、クッション性があり、冬でも温かみがあります。

滑りにくいため、安全に使用できます。

トイレ床に使う場合は、防水加工がされたものがおすすめです。

 

 

スッキリとしたデザインが人気のタンクレストイレです♪

 

 

 

後悔しないために!さらに確認したい5つのポイント

 

トイレをさらに使いやすく、後悔をしないために確認したい5つのポイントをお伝えします。

 

① 誰がいつ使うか

トイレを、いつ誰が使うかを考えましょう。

お年寄りや小さい子供など、介助が必要な人が使う場合、広めで明るく、その人が長い時間を過ごす部屋の近くに設置すると便利です。

男性が多い家庭では、男性用小便器を設置すると、朝の混みあう時間などに重宝します。また、大便器の汚れを軽減することもできます。

 

 

② 明るさ

トイレの照明は、落ち着いた雰囲気にするか、明るくするかイメージを膨らませたうえで計画しましょう。

自然光が差し込む窓を設け、明るいトイレは、日中の節電になるだけでなく、便の状態をよく確認できるため、健康管理にも役立ちます。

 

 

③ 換気・臭いの対策

最近の住宅では、シックハウス症候群対策の観点から、24時間換気設備の設置義務があります。

そのため、トイレには必ず換気扇が設置されることになりますので、換気扇のメンテナンスをしっかり行っていれば、十分な換気環境は得られるでしょう。

できれば窓や、脱臭機能のある便座、消臭機能付き内装材を使うなど、臭いが発生した場合に消臭の手助けになる設備を設置すると、より快適なトイレ空間をつくることができます。

 

 

④ 温度

全館空調の住宅でない限り、トイレに空調設備がつけられることは少ないです。

そのため、トイレは暑すぎる・寒すぎる空間になることも。

トイレで体温変化による体調不良を予防するためにも、温度を調整する工夫はしておきたいものです。

夏場の熱さ対策として、小型の扇風機や、トイレ用のエアコン(トイレではアンモニアが発生するため、必ずトイレ用のものを設置しましょう)、冬の寒さ対策としては、小型の暖房機を設置するか、床暖房を設置してもいいでしょう。

他の部屋の空気を多く取り入れられるよう、ドアに通気口を設けるなど、対策ができるといいですね。

 

 

⑤ 手洗い器問題

限られた空間であるトイレに設置する手洗い器には、コンパクトなものが多くありますが、失敗例として多いのは「コンパクトすぎて手が洗えない」「コンパクトすぎて手を洗うと周囲がびしょびしょになる」ということです。

ショールームなどで、実際の使い勝手を実物で確認してから設置することをおすすめします。

空間が限られている場合は、割り切ってトイレ以外の場所に手洗い場を設けるか、洗面室で手を洗うスタイルにしてもいいかもしれません。

 

 

トイレを計画するためのポイントについてお伝えしました。

快適な住まいをつくるためには、快適なトイレの計画がとても大切です。

限られた空間ですが、使う人に合わせてこだわったトイレづくりができるといいですね。

◆ 執筆者プロフィール ◆

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ー 佐藤結伽 ー
2級建築士。
2人娘の育児にも奮闘中。
最近、自邸の建設をし
注文住宅を購入する事の素晴らしさと、大変さを身をもって経験した。

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