◆家づくりのコラム:太陽エネルギーの利用について

 

 

最近の家づくりでは、エネルギーの自給自足を目指す住まいが多くなりました。

エネルギーの自給自足の方法として、一般的なのが、太陽エネルギーの活用です。

今回は、太陽光発電などの太陽エネルギーの利用について、特徴や選び方のポイントを解説します。

新しい住まいやリフォームで導入する際に、ぜひ参考にしてください。

 

太陽エネルギー3つの利用方法の特徴

 

太陽エネルギーの利用方法には、「太陽光発電」「太陽熱温水器」「ソーラーシステム」があります。

それぞれの基本的な特徴や仕組みついて解説します。

 

太陽光発電

 

導入費用相場(35坪木造2階建て住宅の場合):80~150万円

太陽光発電とは、太陽の光のエネルギーで電気を作ることを言います。

基本的な設備は、以下のもので構成されます。

  1. モデュール、モジュール(ソーラーパネル)…日当たりのいい場所に取り付けられる、太陽光を集め、電気エネルギーに変換するための設備。屋根に取り付けられるのが一般的
  2. パワーコンディショナー(インバーター)…モデュールで集めた太陽光を家庭用の電力に変換する機械
  3. 分電盤…パワーコンディショナーから家の各所に電力を供給する機械
  4. 電力モニター…分電盤と接続し、発電量や、発電状況を確認できる端末
  5. 電力量メーター…分電盤と接続し、電力会社から電気を買ったり、作った電気を売ったりする機械
  6. 蓄電池…分電盤・パワーコンディショナーと接続し、太陽光で作った電力や、電力会社から買った深夜帯の安い電力を蓄える機械。発電量が少ない日や、非常時に使うことができる

 

屋根に設置するモデュールは、屋根と一体型のものや、薄型のもの、目立たない外観のモデュールが積極的に開発され、近年の新築住宅などで人気を集めています。

太陽光発電の場合、よりお得に使いこなすために、オール電化にすることが推奨されます。

 

太陽熱温水器

 

太陽の熱を利用して、お湯を作り出す設備のことです。

自然循環式と、水道直結式があります。

太陽熱温水器を導入することで、ガス使用料を10~50%ほど削減できると言われています。

 

■ 自然循環式の仕組み

導入費用相場…30~50万円

水道から供給された水を、屋根の上に設置された集熱器に循環し太陽の熱で温め、室内の水道からお湯として使う方法です。

集熱器とタンクは一体になっているため、作ったお湯はある程度溜めておくことができます。

導入以降のランニングコストはかかりません。

シンプルな仕組みため、夏場は60℃程度まで温めることが可能ですが、冬の場合は供給された水を約30℃程度しか温められませんので、多少の追い焚きが必要になります。

冷たい水を追い焚きするより省エネになります。

 

■ 水道直結式の仕組み

導入費用相場…50~100万円

水道から供給された水を、屋根の上に設置された集熱器に循環し、太陽の熱で温めるところまでは自然循環式と同じです。

温めた水を給湯器に接続し、給湯器からお湯として使う方法です。

冷たい水をお湯にするより省エネになる上に、お湯の温度調整が給湯器のリモコンでできるメリットがあります。

太陽光発電に比べると普及率は低いですが、プロパンガスの地域など、ガス代が掛かる地域ほど、コストメリットが大きいです。

近年のモデルはデザイン性にも配慮され、より取り入れやすくなりました。

 

 

■ ソーラーシステム

導入費用相場…40~100万円

集めた太陽の熱エネルギーを、給湯や暖房などに利用するシステムです。

水式(液体式)と空気式があります。

どちらも屋根に設置した集熱器と地上に設置した蓄熱槽によって構成されます。

 

■ 水式(液体式)ソーラーシステムの仕組み

集熱器によって高温にした液体の熱媒を、循環ポンプで循環させ、蓄熱槽の内部で蓄えた水との熱交換によって温めてお湯にするシステムです。

暖房用配管と組み合わせることで、給湯以外にも暖房にも利用することができます。

 

■ 空気式ソーラーシステム

集熱器で高温にした空気を、一般的に屋根裏に設置される送風機ユニット(ハンドリングボックス)で床下まで送風し、床下に設置された蓄熱材に蓄熱させ、必要に応じて室内に熱を送ることで直接暖房するシステムです。

蓄熱槽の中に水を蓄え、熱交換器することでお湯を作り出すこともできます。

 

太陽エネルギー利用設備選び方のポイント

 

太陽光発電、太陽熱温水器、ソーラーシステムを選ぶ際に、必ずチェックしたい3つのポイントを解説します。

 

① 設備導入費を回収できるか

太陽エネルギー利用設備を導入する目的として、「光熱費を安くしたい」という気持ちがある場合、必ず日当たり(日射量)と費用回収のシミュレーションをしてから導入しましょう。

日当たりが悪い屋根形状や、立地条件の場合、導入費用が回収できない可能性も十分にあります。

導入すれば「エコ」には貢献できますが、コストメリットを得たい場合は、必ずシミュレーションと自治体が設けている補助金の内容を確認しましょう。

 

② 住んでいる地域に合っているか

日本国内でも日射量が多い地域から少ない地域まで、5区分に分けられます。

普通間違えることはありませんが、住んでいる地域に適した設備を選ぶようにしましょう。

また、海の近くの場合塩害に対応したもの、日当たりが悪い土地の場合、効率のいいモデルにするなど、土地の特徴に適した配慮も必要になります。

冬に日常的に氷点下になる寒冷地は、太陽熱温水器は使えない場合がありますので注意しましょう。

 

③ 建物の形状に合っているか

一般的に、太陽光エネルギーを効率よく利用するためには、陸屋根(平らな屋根)や南に広く面した屋根が必要になります。

南の屋根面が狭い場合や、建物自体の建築面積が小さい場合、効率が悪くなりますので、小さい建物や、小分けのモデュール配置に対応した機種を選びましょう。

 

 

地域や環境によってはソーラーパネルが活躍してくれます!

 

 

日当たりが十分に期待でき、温暖な地域の場合、どの太陽エネルギー利用設備を導入してもお得に使うことができますが、より効率よくエネルギーを得るためには、プラン段階からの方角や建物の形状などの計画が重要になります。

設置には費用がかかりますが、省エネ効果は大きく、地球環境の保護に貢献することができるのは間違いありませんが、そうではない地域や土地の場合、設備自体の導入や、対応メーカーに配慮する必要があります。

太陽エネルギーを利用してみたいという考えがある場合、予算やプランと合わせて一番適した設備を導入できるといいですね。

◆ 執筆者プロフィール ◆

satou_san

ー 佐藤結伽 ー
2級建築士。
2人娘の育児にも奮闘中。
最近、自邸の建設をし
注文住宅を購入する事の素晴らしさと、大変さを身をもって経験した。