◆家づくりのコラム:室内建具について

こだわりの造作?機能性の既製品? 住宅の室内建具についてのお話し

 

 

 

室内に設置する戸は、室内建具と呼ばれます。

いろいろな種類があり、何を選んだらいいか迷ってしまう人も多いでしょう。

室内建具の選択は、暮らしやすさや、安全性や省エネ性に直結するとても大切なものです。

今回は、室内建具とは何なのか?ということから、室内建具の選び方のポイントについてお伝えします。

室内建具選びの際にお役立てください。

 

室内建具とは?

 

室内建具とは、室内に設置するドアや戸のことを言います。

室内建具には、主に次の4つの役割があります。

・空間を仕切る…部屋と通路、部屋と部屋を分ける役割があります

・部屋の外に出る音や光を軽減する…テレビの音や話し声、照明の光などの通過を軽減し、家族間のストレスを緩和します

・空調効率を上げる…空間を仕切ることで、冷暖房の効きをよくして省エネ性をアップさせます

・家族間のプライバシーを確保する…視線や音を遮り、過ごしやすい空間をつくります

 

室内建具は、家族皆が過ごしやすい住まいをつくるために、必要不可欠なものであることがわかりますね。

 

造作建具と既製品

 

室内建具は、大きく造作建具と既製品の2つの種類に分けられます。

まずは、2つの違いについて確認してみましょう。

 

■ 造作建具の特徴

 

造作建具とは、形状や表面に使われる材質、デザイン、金具などを組み合わせて、建具屋さんがオーダーメイドで作成するオリジナルの建具のことを言います。

個性的で、存在感があり、世界にひとつだけの製品になるため、愛着がわきやすいです。

既製品に比べて高価で、重くなりやすく、メンテナンスが難しい場合があります。

 

■ 既製品建具の特徴

 

既製品の建具とは、建材メーカーから発売されている建具のことを言います。

デザインのバリエーションや色柄が豊富で、特別な寸法の対応も可能です。

多くの人が、既製品の建具で満足することができるでしょう。

既製品の多くの表面が化粧シート仕上げられていて、清掃性が良いことも特徴です。

木製の無垢材にこだわった既製品メーカーもあります。

造作建具と比べて、どうしても重厚感は劣りますので、こだわりや、予算面を考慮した上で選択しましょう。

 

■ 室内建具の種類と特徴

 

室内建具には、間取りや使い方に応じてさまざまなタイプがあります。

室内建具の種類と特徴についてお伝えします。

 

・開き戸

一般に、「ドア」と呼ばれるタイプの室内建具です。

1枚の扉をハンドルで開閉する片開き扉や、方開き扉に幅の狭い扉を組み合わせた親子扉、2枚のドアを開閉する両開き扉があります。

プランの際には扉の開閉部分のスペースを考慮しましょう。

扉の向こう側にいる人や、他の部屋の扉や設備とぶつからないように計画することが大切です。

気密性が高く、防音性能に優れており、室内建具の中でも最もリーズナブルな扉形式です。

 

・引き戸

戸をスライドさせて使うタイプの室内建具です。

1枚の戸をスライドさせて開閉する片引き戸や、2枚の引き戸をスライドさせて開閉する引き違い戸、2枚の扉を引き分けて開閉する引き分け戸などがあります。

呼び方は、扉の枚数が増えると、3枚引き違い戸、4枚引き違い戸…というように変化していきます。

開き戸の開閉スペースが確保できない場合や、開閉スペースが邪魔になる場合、開口部分を開け放して使いたい場合に便利に使うことができます。

広い空間に設置することで、必要に応じて間仕切りとして使うこともできます。

間仕切りの場合、木製はもちろんですが、光を通すアクリルパネルの扉も人気です。

力が弱い方や、車イスの方でも操作がしやすいため、室内建具はなるべく引き戸にして、将来に備えるという設計も増えています。

 

・折れ戸

幅の狭い連結させた扉を、折りたたむ様にして開閉するタイプの扉です。

開閉スペースが開き戸の約1/3で済むため、収納扉や狭い空間の扉として使われることが多いです。

収納扉の場合、取っ手を付けずに、溝に手を掛けて使用する、表面をすっきりとさせるデザインが人気です。

折り畳むとコンパクトになるため、広い空間の間仕切りとしても使われます。

 

室内建具の選び方4つのポイント

 

使いやすい室内建具を選ぶための4つのポイントについて解説します。

 

1.行動を邪魔しないものを選ぶ

 

建具の開け閉め動作というのは、一度足を止めて行う必要があります。

さらに、両手がふさがっていると、扉の開け閉めのために一度持っているものを置き、扉を操作する手間がかかり、不便に感じるかもしれません。

家事動線や、帰宅動線にある、荷物を持ったまま通る建具は、開け放っても邪魔にならない引き戸や、軽くタッチするだけで開くタイプの扉にすると、毎日のストレスを減らせます。

また、長い時間開口部分を開け放っておきたい場合、開き戸だと開いた扉が邪魔になりますので、開いた扉をとどめておくスペースを十分に確保するか、引き戸の方が便利でしょう。

間取り図を使って、日常の動作をシミュレーションし、動作の邪魔にならない計画をしてみてください。

 

2.安全に配慮する

 

小さな子供や、身体が不自由な家族や、ペットがいる場合、扉の開け閉め動作には危険が伴います。

指や身体や衣服の一部がはさまれたり、開け閉めの際にバランスを崩して転倒してしまうことがないように、安全に開閉動作を行える配慮をしましょう。

また、視力が弱い家族がいる場合、壁と違う色合いにすると、扉の場所がわかりやすくなります。

扉が勢いよく閉まらない仕様にしたり、引き戸にして、開け放っておけるようにしたり、そもそも動線上に扉を設けないことがおすすめです。

バランスを崩しやすい場合は、扉の付近に手すりを設けると安心です。

 

また、トイレや浴室や脱衣室は、体調が変化しやすい場所のため、中で具合が悪くなって屈みこんでしまっても扉を開けられるようにする配慮が必要です。

引き戸を選ぶか、開き戸の場合は外に向かって開く計画にしましょう。

 

3.インテリアを考える

 

室内建具は、既製品から造作建具まで幅広い商品ラインナップがあります。

扉は、空間の中でもかなり目立つ存在になりますので、面材はもちろん、使用する金物にいたるまで、空間のイメージを崩さないものを選びましょう。

扉は、床や置きたい家具の色と合わせると空間に溶け込みます。

壁の色や、壁の材質と同じものにして、隠し扉のようにすることもできます。

空間のアクセントになるように、光沢のあるメラミン材や、目立つ色合いのものを選んでもたのしいですね。

作りたい部屋の雰囲気の事例などを設計者と共有すると、理想に近い扉を提案してもらうことができます。

 

4.機能性を検討する

 

扉には、いろいろな機能性を期待することができます。

防音扉は、トイレや、趣味の音楽部屋、個室等に用いることで、よりプライバシーを確保できます。

そのほかにも、通風や換気が気になる部屋やクローゼットに用いられるルーバー扉、トイレや洗面室の使用を確認できる小さな明り窓表示錠がついた扉や、ペットのためのくぐり戸がついた扉などがあります。

日常のストレスを軽減させるために、便利な機能はぜひ活用したいですね。

 

 

 

用途やインテリアに合わせて素敵な空間を作りましょう!

 

 

室内で使われる建具について、基本的な種類や選び方のポイントについて紹介しました。

室内の建具は、空間を仕切るだけではなく、冷暖房の効率をアップさせる効果もあります。

広い空間でも、普段の暮らし方を見直した上で、空調の効率も考慮した上で検討できるといいですね。

インテリアや安全性にも配慮して、暮らしを便利にする室内建具の計画をしましょう。

◆ 執筆者プロフィール ◆

satou_san

ー 佐藤結伽 ー
2級建築士。
2人娘の育児にも奮闘中。
最近、自邸の建設をし
注文住宅を購入する事の素晴らしさと、大変さを身をもって経験した。