◆家づくりのコラム:地鎮祭について

 

注文住宅は、着工のタイミングで工事の安全などを願うために地鎮祭を行います。

今回は、地鎮祭とは何なのか?ということや、準備の方法、一般的な地鎮祭の流れについてお伝えします。

 

 

 

 

そもそも地鎮祭とは何なのか?

 

地鎮祭とは、一般的には工事の着手前に行われる儀式のことで、儀式の方法は施主の信仰によって異なりますが、神式で行われることが多いです。

神様に建設予定地に降りてきていただき、以下のことを行うのが目的です。

 

  • 土地に住居を新築する旨を報告する
  • 土地の利用許可をもらう
  • 工事の安全を願う
  • 家族の安泰を願う

 

建設予定地で行われ、その土地に建てる家に暮らす家族・建設会社の関係者・神主が出席します。

 

 

地鎮祭の流れ

 

地鎮祭自体の所要時間は、開始から終了まで約30分ほど。

祝宴を設ける場合には、地鎮祭後に行うことが一般的です。

一般的な地鎮祭の流れを確認しましょう。

 

① 神主挨拶

神主の挨拶で始まります。以下のことを話されることが多いです。

  • これから地鎮祭が始まるということ
  • 工事の報告をする神様の説明
  • 地鎮祭の流れの説明
  • 作法の説明

 

② 手水

神主から渡される水で、地鎮祭の出席者全員が手を清めます。

 

③ 修祓

神主が大麻(おおぬさ)と言われる道具で供え物や出席者をお払いします。

出席者は神主の支持に従い、頭を下げてお払いを受けます。

 

④ 降神

神主が唸るような声を出し、神様を呼ぶ過程です。

出席者は神主の支持に従い、頭を下げた姿勢で神様をお迎えします。

 

⑤ 献饌

神主がお酒とお水の入った容器の蓋を開け、神様にお供え物を捧げる過程です。

出席者は頭を上げ、見守ります。

 

⑥ 祝詞奏上

神主が建設予定地で住宅の新築工事が行われることを神様に報告します。

 

⑦ 四方祓い

神主がお払いの道具を使って、敷地の四隅を清めます。

 

⑧ 地鎮

祭殿前のススキを立てた盛砂を崩す過程です。

設計者・施主・施工業者の代表がそれぞれ順番に行います。

設計者が鎌を使ってススキを刈る動作を行い、施主が鍬を使って盛り砂を半分程度崩します。最後に施工業者の代表が鋤を入れて盛り砂を完全に崩します。

それぞれが「えい、えい、えい」と発声しながら行われます。

 

⑨ 玉串奉奠

神主から施主、設計者、施工業者という順番で出席者全員が、榊に紙垂を付けた玉串を神前に捧げる儀式です。

作法については神主の挨拶で説明されます。

 

⑩ 撤饌

神主がお酒やお水の容器に蓋をする過程です。

 

⑪ 昇神

神主が唸るような声を出し、神様にお帰りいただきます。

出席者は神主の指示に従い、頭を下げてお送りします。

 

⑪ 神酒拝戴

出席者全員で乾杯の後お神酒を頂戴します。

車で出席している人や、お酒が飲めない人は飲む動作だけ行い、残りは敷地の隅にまきます。

 

地鎮祭は以上で終了です。

この後、宴会の席を設けたり、記念撮影、近隣挨拶などが行われ、解散となることが多いですが、土地の地域の風習などによって方法は様々なので、風習に従って行うといいでしょう。

何をしたら良いかわからないという場合は、施工会社と相談しながら行う内容を検討できるといいですね。

 

 

地鎮祭にかかる費用は?

 

地鎮祭にかかる費用は、その地域や、風習、建物の規模によってかなり変動しますが、一般的な住宅の場合、地鎮祭には以下の費用がかかります。

 

  • 玉串料(初穂料でも可) 3~10万円
  • 祭壇やテント等の資材レンタル費用 5~10万円
  • お供え物 3,000~10,000円
  • 引き出物やお弁当 1,000円~×関係者や近隣の人数

 

お供え物は果物や野菜の他に塩、酒、水、米、海の幸(乾物)を用意します

 

 

地鎮祭にかかる費用の全国的な平均は、5~20万円程度と幅広いですが、玉串料を3~5万円納めれば祭壇設営・テント設営・お供え物準備・引き出物準備まで地鎮祭一式を行ってくれる神社もありますよ。

地鎮祭は、施主が地鎮祭を行ってくれる神社に依頼して行われますので、氏神様が決まっている場合にはその神社に依頼することになります。

依頼の際には以下のことを確認しましょう。

 

  • 料金体系
  • こちらで準備するもの
  • 準備してくれるもの
  • スケジュール
  • 建設会社にお願いすること

 

地鎮祭に掛かる費用を明確にした上で行えると安心ですね。

 

地鎮祭とは何なのか?ということから、一般的な流れ、費用についてお伝えしました。

近年は、地鎮祭を行わないという選択をする人も多いです。

育ってきた環境や、信仰、風習によって考え方は様々なので、地鎮祭は行わなくても問題はありません。

しかし、工事中に万が一事故が起きてしまったり、住み始めてから不幸なことが起きた際に「あの時地鎮祭をやらなかったからこうなったのかも」と思ってしまう人は、地鎮祭をやっておくことがおすすめです。

また、予算面やスケジュールなどで地鎮祭が行えない場合もあるでしょう。

気になる場合には、地鎮祭に変わる儀式や簡略的な方法を神社に相談して教えてもらうといいですよ。

着工前の節目となる地鎮祭は、納得のいく形でできるといいですね。

◆ 執筆者プロフィール ◆

satou_san

ー 佐藤結伽 ー
2級建築士。
2人娘の育児にも奮闘中。
最近、自邸の建設をし
注文住宅を購入する事の素晴らしさと、大変さを身をもって経験した。