◆家づくりのコラム:手摺りについて

近年、社会の高齢化が進むにつれ、家族の安全を考慮して住まいのバリアフリー化が積極的に行われるようになりました。

この記事では、住まいのバリアフリー化や安全確保に欠かせない手すりについて、必要な場所や、その高さについて解説します。

 

 

 

手すりが必要な場所とは

 

手すりの役割は、動作の補助や転倒防止等です。

手すりを設置する場所は、段差がある場所や立ち座りの動作を行う場所だけではなく、手すりを必要とする人が、可能な限り自分の力で生活できるように配慮して計画する必要があります。

日常的に手すりを必要としている人が家族にいる場合、その人の使いやすい位置や場所を本人と検討して手すりの計画をするようにしましょう。

 

・廊下の移動補助

 

廊下は、自室からトイレや食事室、浴室へ移動するための大切な移動経路であることが多いため、必要に応じて手すりの設置を計画しましょう。

設置高さについては、身長や身体機能によりますが、腕を真直ぐ下ろした状態で手首の位置や大腿骨大転子の位置と合わせると丁度良い高さになるとされています。

その他にも使いやすい杖の高さを参考にすることもあります。

だいたい床から750~850mmの高さが一般的です。

 

・出入口の操作補助

 

出入り口付近では、縦型の手すりを必要に応じて計画しましょう。

扉の操作を行う場合や、出入りの際にバランスを崩しやすいため、扉の開閉や出入りの動作を実際にイメージしながら計画すると良いでしょう。

手すり上端が肩と同じくらいの高さになることを目安にすると丁度良い高さになるとされています。

 

・階段の移動補助

 

階段の手すりは、住宅の計画でも最も一般的になっています。

階段の段鼻から高さ750mmが標準とされていますが、健康な成人の場合は低く感じることが多いため、階段をよく利用する人や、将来的な計画も合わせて検討できるといいですね。

 

・便器横の立ち座り補助

 

トイレの便器横には、立ち座りの上下動作を補助する手すりを必要に応じて計画します。

現段階で必要が無い場合でも、インテリアに馴染むシンプルなたて手すりや、小型のハンドグリップを計画しておくと後々の備えになり安心です。

手すりが必要な家族がいる場合は、L型手すりが安全で有効です。

 

縦型手すりの場合、手すりの中心が便器先端から200~300mmの位置が標準とされています。

立ち上がった姿勢で、体の前方に手すりが来るように取り付けることで、体を引き寄せて立ち上がる動作が行いやすくなります。

紙巻器の位置関係も考慮して、使いやすい位置をイメージしながら計画しましょう。

 

・玄関段差補助

 

日本の玄関には段差が出来てしまうものです。

その段差を越える動作や、靴を履くための座り込み、そこからの立ち上がりのための上下動作を補助する手すりを計画しましょう。

立ち座りの上下動作を縦型手すりで補助し、その後の歩行に向けて横型手すりを組み合わせると動作がスムーズになります。

手すりの高さは、上端が段差を上がった状態で肩の高さに来るようにすると丁度良い高さになるとされています。

玄関は人目につく所なので、意匠的にも配慮して手すりを選べるといいですね。

 

・浴室

 

浴室では、洗い場から浴槽への出入りを補助する縦型手すり、浴槽内で体の姿勢を維持し、立ち上がる動作を補助するための横型手すり、出入り口付近の縦型手すりが主に必要になります。

システムバスの場合、ショールームに足を運んで実際の動作を行いながら手すりの位置を検討すると効果的です。

浴室は、住宅の中でも転倒事故が多く起こる危険な場所です。

動作補助はもちろんですが、転倒防止の意味でも必ず手すりの設置を検討したいですね。

 

 

住宅の中で、手すりが必要な場所とその位置についてお伝えしました。

手すりの位置を決める際には、必ずメインで使用する本人の意見を聞きながら計画を行うことが大切です。

現段階で家族に手すりを必要とする人がいなくても、急なケガや病気、妊娠の後期などには普段健康な人でも体が思い通りに動かなくなってしまうこともあります。

家族にとって本当に住みやすい住宅にするために、手すりの計画は必要不可欠と言えますね。

 

 

 

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◆ 執筆者プロフィール ◆

satou_san

ー 佐藤結伽 ー
2級建築士。
2人娘の育児にも奮闘中。
最近、自邸の建設をし
注文住宅を購入する事の素晴らしさと、大変さを身をもって経験した。